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「福武ホールオープニング記念シンポジウム」に行って来ました。

先週土曜日、東京大学大学院情報学環・福武ホールオープニング記念シンポジウム「世界の一元化に抗して文化に何ができるか」に行ってきました。

一日通して、紹介されるものはわくわくする変化ばかりで、圧倒されました。同時多発変化連絡会議も少しでもこのすごさに近づきたいです。

以下、そこで紹介されたわくわくを一部紹介しておきます。

フィリピンのアーティスト、キドラット・タヒミック氏は、フィリピンの伝統・土着文化を守るため村民に(日本製の)ビデオカメラを渡してその生活を撮影してもらっているそうだ。ビデオカメラが安価になり、操作も簡単になってきたことで可能なプロジェクトらしい。シンポジウムの中でIT化がむしろ一元化を進めている点を憂慮する議論もあったが、そんな中でこのようなプロジェクトが可能になっていることは心強い。日本でも消えかかっている伝統をビデオに残す活動があるが、継承できないならせめて映像は残したい。懇親会でタヒミック氏に話し掛けたら、彼も「(映像は)ないよりはまし」とおっしゃっていた。本当、フィリピンも日本も時間との戦いだ。

ギリシャのアーティスト、アレキサンドロス・プシフゥーリス氏が紹介した音声で映像を提供するプロジェクト、それをするにあたって母国語でなく英語で行わなければならなかったことについての話が興味深かった。言葉が変わると考え方も変わるし、いろんな言語があった方が、お互い思いも寄らないアイデアが生まれると思う。

韓国のミュージシャン、ウォン・イル氏は、韓国のセマウル運動によって失われかけた伝統音楽の伝承やそれを素材にした新しい音楽を手がけているとのこと。彼の所属するバンドPURIの実演もあり素晴らしかった。1曲目、3曲目は打楽器中心。2曲目は伴奏付き縦笛。たまたまなのだが、バックに棚田などの景色が組み込まれたこのシンポジウムのポスターが映されていた。縦笛の音を聞いていたら棚田の風景が実体化して泣けて困った。一般的な楽器を使った洗練されたDTMに慣れ切っているので、こういう伝統楽器を生で聞く機会がもっと増えるといいな。3曲目のそれぞれの楽器のソロパートのような部分がすごく短く入るのがとてもクールであった。これから日本のにもこういうのを見つけていかなければと思うとわくわくする。懇親会で後述の藤幡先生が「言葉で伝えられることは限界があると思う。こういうシンポジウムで、ああいうパフォーマンスがあることは素晴らしいことだと思う」とおっしゃっていた。同感。

地中美術館総合ディレクター北川フラム氏が福武總一郎氏と手がけている瀬戸内海の直島越後妻有のふたつの地域で「地域を元気にする」アート・プロジェクトについての紹介があった。わくわくは地域により多いと思っていたけれど、これにもとてもわくわくする。アートのことはまったく門外漢だけれど、懇親会で北川氏に尋ねてみたら、東京のアートより俄然活発といった感じのことをおっしゃっていた。

アートのお話では、もうひとつ大きな収穫があった。同時多発変化連絡会議で、「ハリウッドスタイル」とか「オーシャンズ11スタイル」とか「モード2」とかそれぞれ好きな呼び方で呼んでいる知的生産形態が実践されているという点だ。(代表して)オーシャンズ11スタイルとは、さまざまな分野の人がプロジェクト限りに協力して進めるやり方。しかし、日本でそのスタイルが実践されている例をうまく見つけることができていなかった。が、アートの分野ではたとえば棚田を利用した作品を作るときに農家の方が手伝ったといった話がいくつも紹介されていた。芸術は時代は先取りするとは良く言ったものだ。

東京芸術大学大学院映像研究科長でアーティストの藤幡正樹氏の講演・発言も大変参考になった。それを踏まえた懇親会での質問を紹介。本編では「答えを見つけるだけの勉強を越えなければならない」という議論がされていたのだが、懇親会で「例えば詩を書いてと言っても、学生は『大人が気に入るような』詩を探そうとしかねない。結局大人が学生を評価するのでは答えを見つける勉強を越えられないのでは」と尋ねたところ、「私の場合は高校生ぐらいのときに芸術家と交流があったのが良かった」といった感じのコメント。なるほど良いヒント。

パネリストとして参加した東京大学情報学環教授西垣 通氏が「メインフレームなどに代表されるタイプ1、パソコンなどに代表されるタイプ2のコンピュータ技術では世界の一元化を促進する方向ではないかと心配する。タイプ3のコンピュータはまだできていないが、アートが一つのキーワードではないかと思う」ということをおっしゃっていた。なんか、Youtubeやニコニコ動画などに投稿される作品のことみたいだ。懇親会で今度議論させてくださいとお願いした。

そして、当日をまとめておられた東京大学大学院情報学環長吉見 俊哉氏を始め、この企画力には脱帽した。職業柄シンポジウムには沢山出ていますが、もっとも印象的なシンポジウムの一つだった。懇親会で吉見先生にもちゃっかり今度議論させてくださいとお願いした。

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